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月末になるとどうしても閉店情報が出てしまうことが多くなります。特に名店と呼ばれるお店が閉じるというのはとても悲しいことですね。それも36年も続いた老舗となるとなおさらです。
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GW最終日の5月6日に閉店するという錦織の外環状線沿いにあるお店、「カフェテラス蘭館富田林店」を訪れました。最後に美味しいケーキをいただくためです。

ただ、ケーキを頂くだけではなく、カフェテラス蘭館富田林店(以下、蘭館)を実質的に支えてきたケーキ職人の方がいることを知っていたので、取材を申し込みました。ケーキ職人の方のお名前は柏原健二さん。ケーキ職人一筋38年という筋金入りの名パティシェです。
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閉店前のお忙しいところ、柏原さんは特別にお時間を取ってくださいました。チョコレートケーキとレモンケーキ。そしてたっぷり入ったコーヒーを味わいながらお話を伺いました。
父がパンを作っていたからこの道に入った

柏原さんはケーキ職人として38年。その中でこの蘭館には25年勤められた方です。まずなぜケーキ職人の道を歩まれたかということからお話を伺いました。
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柏原さんは、大阪阿倍野で生まれ、尼崎で育ち、さらに中学・高校は大東市に住んでいたそうです。

(画像は蘭館さんのパンです)
高校を卒業して次の進路を考えていたとき、特に何も考えていなかった柏原さん。お父さんがパン職人としてパン屋さんで働いていたころから「いつか親子でパン屋をやれたら」ということで、パンの会社に18歳で就職しました。
就職先は現在クックハウスのサイトを運営(外部リンク)しているベーカリーの株式会社ダイヤです。ところでここで私は疑問を持ちました。この流れではパン職人になるはずです。しかし柏原さんはケーキ職人です。一体どういうことでしょうか?
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「欠員」という偶然がケーキ職人への第一歩

当時の会社は上本町でケーキ屋さんを経営していたそうで、たまたま欠員が出たということで、入社したばかりの柏原さんが手伝うことになったとのこと。結局そのままケーキ職人の道を歩み現在に至ったのです。運命の面白さを感じました。
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柏原さんは6年間の下積みを経験した後、2軒ほどのお店を回ったのち、蘭館と出会い就職します。当時27歳でした。

当初から富田林店に配属したわけではなく、東大阪市にあった工場での勤務でした。当時の蘭館は東京などにもお店があり、大阪では12店と非常に勢いがあった時期で、1日で1000個のケーキを作っていたそうです。
かつては24時間営業の店だった富田林店

やがて東大阪の工場は閉鎖することとなり、7年前に柏原さんは富田林店に異動となりました。大きなお店のため店の中にケーキ作りのセントラルキッチンのようになっており、現在でも1日4~500個を作っています。

柏原さんが作ったケーキは大丸・梅田店や堺ベルヒル北野田店、さらに岡山にも卸しているとのこと。
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「私が配属する前の話ですが」と柏原さん。カフェテラス蘭館富田林店はかつて24時間営業していたそうです。今でこそすぐ隣にラムーやコーナンがありますが、昔は田んぼしかなかった場所に、ぽつりとお店があったそうです。
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「仕事帰りのお客さんが良く来ていて、夜中過ごせたから、中には始発までいた方も多かったと先輩が言っていました」と柏原さん。

富田林店閉店という情報が流れると当時を懐かしんでくれた人から当時の思い出話をよく聞くと言います。富田林と河内長野の人の思い入れが強いとのこと。
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ちなみに柏原さんが富田林店に来た頃は先輩と男性ふたり職人体制でしたが、先輩が辞められた後は柏原さんがひとりで大量のケーキを作っています。
富田林店閉店のきっかけは「90歳代で他界された先代」

そんな富田林店が閉店するきっかけは何だったのでしょうか?2020年以降に起こったコロナ禍や昨今の原材料の高騰による物価高なども影響しているのは事実。
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しかし、それ以上に大きなきっかけがありました。柏原さんによれば、最近先代社長が90歳代で他界されたと言います。

先代社長には「コーヒーとケーキはセット」という強いこだわりがあったので、昔ながらのケーキを作り続けてきたという柏原さん。

「特に富田林店は店の規模が大きいので、コロナ禍以降、維持していくのも大変という現状もあった」という柏原さん。コーヒーの方はまだ設備を動かせますが、ケーキを作る場所となると大変というのもあったようです。

(蘭館は食器にもこだわりが)
それでも柏原さんが何らかの形で残る可能性もあったそうですが、これを機に柏原さんは退職という選択肢を選びました。

その理由は長時間労働でさすがに疲れたからだと言います。今でこそ週休2日制になったものの、昔は週1回しか休めなかったのです。
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朝6時には店に入り、夜21時頃までパート2人の手を借りながらひとりで延々とケーキを作り続けたという柏原さん。責任感が人一倍強い柏原さんは「店を回さないといけない」ということで、長く蘭館を支えてきたのです。
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普段静かなSNSが閉店情報を知って「バズった」と柏原さん。そしてそれを知った人たちが「最後だから」とたくさん蘭館に来てくれているそうです。
「ふたりの娘も家を出る年齢になったので、もういいかなと。家族は今回の決定に、ゆっくり休んでとむしろ喜んでくれています」と柏原さん。旅行にも行けないほど忙しかったということだったので、5月6日の閉店後には、宿泊を兼ねた家族旅行に行こうかと考えているそうです。
これからはのんびりとケーキを作っていきたい

ということで、蘭館富田林店閉店と共に退職する柏原さんに最後に今後のことを伺いました。
38年のケーキ職人ということで、いろんなところから今後のことで声はかかっているそうですが、5月6日の閉店までは「まだ考える余裕はない」と言います。

蘭館では数えきれないほど多品種のケーキを作ってきたという柏原さん。「仕事を辞めたら体が疲れないから眠れなくなるかも」と別の不安を持っているそうです。
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飛ぶ鳥跡を濁さずではありませんが、最後の1日まで手を抜かずにやり切ると語る柏原さん。とても素敵だなと感じました。

その一方で、独立も頭の中によぎっているという柏原さん。「5月6日以降はとりあえずゆっくりしようかなと。その後、何かをやるとしても自分はケーキ作りしかできないからそうなるだろう」とも。「その時は、量を作るのではなくのんびりと」と、締めくくりました。
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ということで、カフェテラス蘭館富田林店の閉店に伴って退職をすることになったケーキ職人、柏原さんからお話をお伺いしました。
お土産にモンブランを買って帰り、この記事を書きながら頂きました。マロンのしっかりしたフレーバーと嫌みの無い甘味が絶妙なモンブラン。美味しくいただきながら、名店を支えたケーキ職人・柏原さんの次なる展開がどうなるか今から待ち遠しく感じました。
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カフェテラス蘭館富田林店(外部リンク)
住所:大阪府富田林市錦織北1丁目23-7
TEL:0721-24-2446
営業時間:9:00〜18:30
定休日:無し(5月6日まで)
アクセス:近鉄滝谷不動駅から徒歩15分
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この記事を書いた人
奥河内から情報発信
大阪府河内長野市在住の地域ライター・文筆家。2021年に縁もゆかりもない河内長野に移住し「よそ者」の立場で地元の魅力・町が元気になるような唯一無二の文章執筆、情報を発信しています。
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