【松原市】大阪唯一のブランド合鴨!ツムラ本店食育ツアーに参加。「1羽ずつ目で見て、手で確かめる」鮮度にこだわる5代目が貫く信念

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トップの画像は以前私が、河内長野荘で宿泊した時に頂いた夕食「大阪産(もん)河内鴨コース」です。

この河内鴨は松原市内で生産されていたもので、現在大阪府唯一の国産合鴨の生産・販売を行っているツムラ本店さんから届いた新鮮な鴨肉です。

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そして10月10日に河内鴨食育ツアーが行われるという情報を得た私はとても気になったので、施設見学だけの参加を申し込みました。ツムラ本店さんは松原市別所8丁目にあり、G20大阪サミットの正式食材にも採用された、とても良質な合鴨を生産販売しています。

見学の間、有限会社ツムラ本店代表取締役社長、津村佳彦さんから解説がありました。取材を申し込んで了承を頂いたので、イベント終了後にも少しお話を伺いました。

河内鴨の歴史と5代目としての歩み

ツムラ本店の歴史ですが、1870(明治8年)創業で、当初は味噌屋として始まったそうです。大阪での鴨の飼育を遡れば豊臣秀吉の時代になります。

長浜に城を構えたことで、琵琶湖の鴨肉をよく食べ大好物だった秀吉が、長浜から大坂城に居を移してからも鴨肉が食べたいという理由で、大坂の農家に飼育を奨励したことからはじまったそうです。

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そのため、かつては大阪にも多くの鴨の生産者が存在し、ツムラ本店は主に鴨の卵を孵化させる業を営んでいました。

その後、事業を継いだ先代の経営者が戦争の影響などもあり、飼育から処理、販売までの一貫した体制を築いていったそうです。津村さんは5代目として事業を担い、松原の地にこだわりながら、今も河内鴨を育てています。

津村さんは、幼稚園のころから卵を拾う係をしたりと、幼いころから家業を手伝っていたそうです。長年にわたり積み重ねられた鴨との経験が、現在の飼育方法や品質へのこだわりにつながっています。

飼育環境と鴨の成長

鴨の飼育では、とうもろこし、大麦、小麦などを餌として与えています。ツムラさんによると鴨は本来、明るい環境で日光を浴びて育てることが望ましいのですが、近隣住民との約束や周辺環境への配慮から、本社ビルの鴨舎内をあえて暗くしているとのこと。

飼育施設の照明や環境に関する規制は、施設の面積や地域によっても異なります。鴨は夜行性で、夜間も活動します。そのため、このように薄暗い環境が適している面もあるそうです。

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またツムラ本店では飼育密度にも気を配っています。特に暑い時期には、鴨同士の争いが増えることもあるらしいからです。

以前は1区画に7羽ほど入れていたところを5羽に減らすなど、過去の経験を生かしながら飼育環境を調整しているとのこと。

ツムラ本店のビル内には生きた鴨が8000羽いるそうで、生まれたてから5週目までや出荷前の鴨がいます。その間の全体の半分くらいの鴨は、環境に配慮した奈良、和歌山、熊取などの山のなかにある農場で、出荷前まで育てているそうです。

鴨は成長すると筋肉が発達します。津村さんによると出荷までの日数ですが、一般的には50日のところ、ツムラ本店では時間をかけ、現在およそ75日。以前は85日ほどかけていたこともありました。鴨の成長段階や肉質を見極めながら、出荷時期を判断しています。

また、鴨の品種や呼び名には曖昧な部分もあるといいます。「合鴨」という言葉も必ずしも特定の品種を示すわけではありません。品種の違いや飼育方法を正しく理解することが大切だといいました。

これについて補足、農林水産省の見解を要約すると、合鴨は真鴨とアヒルを掛け合わせた食用家禽です。脂が多く日本人の口に合わなかったアヒルを、古来親しまれてきた野生の鴨の味を目指して品種改良。肉厚で程よく脂ののった味わいになり、全国へ広がったそうです。

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抗生物質に頼らない飼育

津村さんが飼育において特に重視しているのが、抗生物質を使わないこと。津村さんが若い時に様々な実験をしてそう決めたそうです。

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抗生物質を使用すれば鴨が病気になりにくくなる一方、飼育方法や薬剤の使用については、食べる人への影響も含めて考える必要があるためと言います。ただし、抗生物質を使用しない飼育では、一定数の鴨が死んでしまうことも覚悟しなければならないとも仰っていました。

そのため、飼育している約10羽に1羽の割合で育たず、約9割が食肉として出荷される計算になるとのこと。津村さんは、抗生物質を使わない飼育はひなの死亡率が高くなるため、決して簡単な道ではないものの、品質へのこだわりを貫くために続けている取り組みだと話していました。

孵化から出荷までの一貫した管理

卵からの孵化には自動化された設備を活用しており、孵卵期間は28日ほど。鴨の飼育は365日休みなく続きます。出荷作業は午前4時30分ごろから始まり、注文やその日の状況を把握しながら、鴨の状態を一羽ずつ確認して処理していきます。

ツムラ本店では一日に処理できるのは約200羽が限界とのこと。

背景には機械を使えば処理速度は上げられるものの、一羽ずつ目で見て状態を判断することを重視しているからです。

ちなみに作業する人の年齢や性別はさまざまで、誰もが複数のポジションを担当できるよう、シフトや作業のローテーションにも工夫を凝らしているそうです。また調理用具の熱湯による消毒にもこだわり、衛生管理を徹底しています。

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河内鴨の鮮度と刺身へのこだわり

河内鴨の魅力として挙げられるのが、鮮度の高さです。

大阪市内から大和川をはさんだ松原で飼育・処理することにこだわる理由のひとつとして、処理したその日のうちに肉を届けられるからです。

つまり松原にあることで、大阪市内の飲食店などにも近く、鮮度を重視する料理人にとって大きな利点となるからです。

ツムラさんが特に推しているのが鴨の刺身です。刺身として提供するには、鴨そのものの品質だけでなく、処理する人の経験や技術も重要になります。

また、適切な処理ができなければ血が肉に回り、刺身としての品質を保てなくなります。例えていうなら「魚の活〆」のようなことで、鴨の頸動脈を切り1分で仕留めなければなりません。

なお、食肉の生食には食中毒のリスクがあるため、刺身として提供する場合も、衛生管理や適切な取り扱いが欠かせません。

そのため、もちろん衛生面にも細心の注意を払い、さまざまな検査を実施しています。少しでも問題があれば出荷できないため、飼育施設なども含めてしっかり確認する体制を整えているそうです。

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料理人との信頼関係


「河内鴨のたたき」

ツムラ本店では、取引先の約9割は顔の見える関係にある顧客だといいます。

大阪の飲食店を中心に、料理人との信頼関係を大切にしながら販売を続けています。

一日に処理できる数には限界があるため、すべての注文に応えることは難しいのが現状です。そのため、取引を希望してその順番を待っている店も大阪府内で約70軒。東京や海外など遠方の名店から声がかかることもあり、例外的に取引する店も一部あります。

「河内鴨ロース煮ワインソース」

津村さんは、河内鴨を広く流通させることよりも、品質を理解してくれる店に届けることを厳守しています。具体的には取引先希望の厨房などを実際に見学に行き、衛生管理がしっかりしているか、冷蔵庫の中の整理がきちんとされているかまで調べたうえで、ここならという店だけに卸しているそうです。

また、河内鴨の名称についても、信頼できる飲食店に限って使用を認めていて、単に商品を販売するのではなく、飼育から料理として提供されるまでの品質を大切にしています。

鴨肉の価値を高めているのは、生産者だけではありません。

肉の良さを理解し、適切な調理法で客に提供する料理人、そしてその価値を認めてくれる客がいるからこそ、ブランドが成り立っているといると津村さんは熱く語ります。

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地域との共生と松原への思い

鴨の飼育では、周辺住民との共生も重要な課題です。窓を開ければ、どうしても臭いが外に出てしまうので、近隣との約束を守りながら運営しなければなりません。河内鴨は地域に根差した事業だからこそ、周囲への配慮を欠かすことはできないのです。

一方、鴨肉の品質や鮮度を追求するうえでは、前にも書いたとおり、大阪市内に近い松原という場所に意味があります。

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ちなみに、肉に加工する時に鴨の毛が多く出ます。かつては羽毛布団の原料として羽毛を活用していた時代もあったそうですが、安い海外産にシフトしてしまったため、現在は使用されていないそうです。

さて、事業を続けていくうえで事業継承も大きな課題となります。その点、ツムラ本店では六代目となる次世代も育っています。

津村さんは、以前は日帰りでしか息抜きに出かけられなかったほど、365日仕事に追われていましたが、現在は次世代を担う子どもさんに任せられるも増えたため、宿泊を伴う旅行にも出られるようになったと、嬉しそうでした。

「長年にわたって培ってきた飼育技術と経験を次の世代につなぎながら、これからも松原で河内鴨を育てていきたい」と津村さんは締めくくられました。

見学会の最後は、お楽しみの試食タイムでした。スモークされた立派な河内鴨を口に含むと、頬が落ちるという表現がぴったりの旨さ、実際に食べてみてわかるものです。

河内長野荘に宿泊した際に撮影した河内鴨のすきしゃぶ

この時に、以前、河内長野荘でいただいた時のことを思い出しました。「あの時こんな手間暇かけて品質にこだわったリッチな合鴨のコースを頂いたんだ」と、当時の美味しかった記憶が蘇りました。

ということで、河内鴨のツムラ本店さんを取材しました。孵化 から出荷まですべてを管理しながら、抗生物質に頼らず愛情を込めて育て、品質とブランドにもこだわり抜いた5代目社長の津村さんのお話を聞きながら、多くの人に河内鴨を食べていただきたいと感じました。

河内鴨ツムラ本店

住所:大阪府松原市別所8丁目10−24
TEL:072-334-1111
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜日 特別休暇(夏季・年末年始)
アクセス:松原市のコミュニティバス(ぐるりん号)「別所」バス停から徒歩約10分〜15分前後、あべの橋からバス三宅中バス停から徒歩23分、河内松原駅から徒歩約20分〜25分程度、八尾南駅から徒歩29分

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この記事を書いた人

奥河内から情報発信
大阪府河内長野市在住の地域ライター・文筆家。2021年に縁もゆかりもない河内長野に移住し「よそ者」の立場で地元の魅力・町が元気になるような唯一無二の文章執筆、情報を発信しています。

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