※2024年7月のアーカイブ記事なので、内容は当時のままです。
河内長野の姉妹都市と言えば、アメリカインディアナ州にあるカーメル市。そのようなこともあり、カーメル市との交流がコロナ禍を経て復活しています。
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(昨年カーメルから来た若者、左から2、3.4番目)
昨年はカーメルから、数名の若者が河内長野に訪れました。さらに今年は、西野市長がカーメル市を訪問(外部リンク)し、カーメル市長と30年ぶりにトップ会談をしました。

(天野酒を訪れたイーサンさん)
少し前の話になりますが、2022年の秋から冬にかけて、カーメル在住のひとりの青年、イーサン・マックアンドリュー氏(以下、イーサンさん)が河内長野に来て、しばらく滞在したことがありました。

イーサンさんは、秋祭りの西代神楽(にしだい/にしんだい かぐら)の見学など、日本、特に河内長野文化を楽しんでいました。しかし、彼はただ遊びに来ていたわけではありません。
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それは、料理本を作るための取材に来ていたのです。イーサンさんは日本酒もお好きなようで、天野酒をお代わりしていたことを今でも印象に残っています。

そこで私は、イーサンさんに逆取材を申し込みました。そしてイーサンさんが帰国後、しばらくは料理本の音沙汰がなく、3年近くが経過していました。

(公開されているかわちながの紙報道資料より)
「もう料理本できないのかな」と個人的に気になっていたのですが、そうではありませんでした。河内長野の報道資料(外部リンク)によると、1項目目は先ほど紹介した姉妹都市の市長同士の階段の様子ですが、2項目目に、料理本「Carmel Kawachinagano Cook Book」が完成したという報告がありました。
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イーサンさんのこの料理本には絵(イラスト)がついているのですが、驚いたことに、それを描いた人が河内長野に住んでいる綱本武雄さんとのこと!とても気になった私は綱本さんにインタビューを試みることにしました。
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そして先日、近鉄汐ノ宮駅近く、東高野街道沿いの古民家カフェ、百年邑(ひゃくねんむら)さんでお話を伺うことができました。
綱本さんがイラストレータそして河内長野に来たわけ

(綱本さん)
綱本さんは河内長野出身ではないそうです。横浜で生まれてすぐに静岡県磐田市に引っ越しし、高校まで育ちました。その後、東京の多摩美術大学美術学部建築学科に進学。卒業後に大阪に転居し、関西学院大学総合政策研究科を修了しています。都市計画コンサルタント会社に就職後、2020年にイラストレーターとして独立しました。イラストは子どものころから描いていた(好きだった)ことで、思いきって職業にされたわけです。
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(イーサンさんが執筆した料理本)
綱本さんが会社を辞めてイラストレーターになったきっかけは、コロナ禍でした。会社の業績も悪くなり、かつテレワークで家にこもるような生活が続いたことで、だったら「家に籠ってできるイラストレーターに」ということで独立したのです。
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(英語文章で書かれた中に、挿絵として綱本さんのイラストが)
それまでのイラストは、全くの趣味だけでなく、勤務していた会社の仕事でも活用していたこともありました。建築のノウハウがイラストにも大いに生かされ、空間的な広がりや奥行き、綿密に書き込む表現を得意としています。

(画像はイメージです)
実績として、大阪市立住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」での展示などがあります。


では、そんな綱本さんがなぜ河内長野に来たのかと言えば、それは綱本さんの奥様の関係でした。奥様は以前、市町でごはんやDay!チーム市町」の取材でもお世話になった方です。その奥様のお父様の実家である茅葺古民家がしばらく空き家になっていたそうですが、それならばと2014年に河内長野に引っ越ししたそうです。「本当はマンションのほうが安かったけれど」と、古民家の改装費はそれなりにかかったそうです。
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イーサンさんとの出会いとビジネスパートナーとして本を出版するまで

(KIFAのイベント、ごった煮フェス)
綱本さんがイーサンさんと出会ったきっかけは河内長野市国際交流協会(KIFA)の存在でした。家族会員だった綱本さんは、毎年のように、海外からの若者を受け入れるホストファミリーを引き受けていたのです。そしてイーサンさんが河内長野に来た時も、滞在先として1か月ほど一緒に生活していました。
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(画像提供:綱本さん。カーメル市内は信号が少ない代わりにラウンドアバウト(環状交差点)が多数設けられています)
最初は、いつものようにホストファミリーとして、イーサンさんの滞在の世話や河内長野や大阪の観光案内などを行っていました。そんな中、綱本さんがイラストレーターとしての展示物の話をしたことがきっかけで、イーサンさんのほうから「挿絵を描いてくれないか」とお願いがあったのです。

(画像提供:綱本さん。カーメル市滞在中の食事)
綱本さんは引き受けました。しかし、すでにイーサンさんの取材も終盤だったため、イラストを描くために料理の実食と言ったことがほとんどできなかったとのこと。そのためカーメルの場合は画像を元に描いたり、河内長野では単独で再取材をするなどを行ったそうです。
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(画像提供:綱本さん。カーメル市滞在中の食事)
それだけではなく、契約社会のアメリカでは契約書をきっちりとする必要があり、その手続きに手間取ったり、イーサンさん自身がマイペースで執筆をしていた関係で、日本人が考えるよりも大幅に時間がかかりました。

(画像提供:綱本さん。カーメル市街地中心部「ミッドタウン」。この時はバスケットボールの試合のパブリックビューイングを行っていました)
「まあ、休み休みで半年ほどでイラストは仕上げました」と綱本さん。それでも今年になってついに出版までこぎつけたのです。
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(イーサンさんがとても気に入った南天苑)
「イーサンさんは、地元カーメルのファーマーズマーケットと南天苑に特に思い入れがあったみたいなんです」と綱本さん。

「南天苑は周りが木々に覆われていて全体が見えないから」と、あたかもドローンを飛ばして描いたかのような上空からのイラストを仕上げました。綱本さんのこれまでの経験が見事に生きた作品です。
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(画像提供:綱本さん。夏季期間中、毎週土曜に開催されているカーメルファーマーズマーケット)
カーメルのマーケットについては画像を元に描いたそうですが、背景にカーメルのシンボルとなる建物をわかるように配置を独自にしました。またマーケットの販売員やお客さんもカーメルに住んでいる人をイメージして描いたそうです。

「カーメル市と近郊で採れる食料品や料理を販売し、イーサンさんも料理本で数店舗を紹介しています」とのこと。イーサンさんにとっても地元で行われるファーマーズマーケットの存在はとても重要視していたそうです。

(画像提供:綱本さん、2022年開館した出版イベントを開催したカーメル市立図書館)
構想から完成まで時間がかかりましたが、ついににイーサンさん著、綱本さんイラストの本が完成し、カーメル市内で出版発表会が行われました。綱本さんも渡米して発表会に参加しました。
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(画像提供:綱本さん。カーメル市立図書館での出版イベント)
綱本さんによると、当日の発表会の画像はPearl & Diane McAndrews提供とのこと。
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(画像提供:綱本さん カーメル市立図書館での出版イベント)
出版記念の場所はカーメル市立図書館です。図書館で出版発表会というと不思議な気がしますが、綱本さんによるとカーメルの図書館はメディアセンターのようなところで、日本の図書館とはイメージが違うそうです。

(画像提供:綱本さん カーメル市立図書館での出版イベント)
2022年の秋にイーサンさんがホームステイしたことが縁で、本の作成を一緒に行った綱本さん。長い間ネットを介してのやり取りをおこなったとのこと。ちなみにイーサンさんは河内長野に来る前に中国の北京大学に留学した経験があるので、漢字は読めるそうです。

なお、料理本は基本的に英文のみ(前文のみ日本語)で書かれています。日本でも買え、KIFAの事務局でで3,000円で販売しているそうです。綱本さんは「アマゾンでも販売しているようですが、手数料が高いので注意してください」とのことでした。

(画像提供:綱本さん。カーメル市庁舎にて、Sue Fincam市長と)
ちなみに前文は、本の出版企画当時の両市の市長に前文をお願いした関係で、河内長野のほうは島田前市長です。またカーメルでも市長が変わったのですが、こちらはSue Fincam現市長に差し替えになったとのこと。
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(画像提供:綱本さん カーメル市立図書館での出版イベントで語るイーサン氏と綱本さん)
本に掲載している料理は次の通りです。
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- 卵焼き
- 白ごはんと味噌汁
- ビスケットとグレービーソース
- ワッフル
- 手打ちそば
- とんかつ
- ポークテンダーロインサンドイッチ
- ボスコスティック
- 焼きそばパン
- 食べ歩きタコス
- うどん
- 手巻き寿司
- 抹茶
- バターミルクランチドレッシング
- たこ焼き
- ホットドッグ
- すき焼き
- ショートリブ
- カレーライス
- チーズバーガー
- お好み焼き
- ガーリックバターステーキ
- クリームエール(ビール)
- 柿プリン
- ストロベリーピザ
- シュガークリームパイ
- クリスマスケーキ
- バナナクリームケーキ
- 日本酒

余談ですが、イーサンさんはなぜかとんかつにとても興味があったそうです。とんかつと河内長野と言えば、私はとんかつの山田屋さんしか思いつきません。

(ポークテンダーロインサンドイッチ)
どういうことか伺うと、とんかつはイーサンさんが来日前から気にしていた料理だったのです。そして滞在中にホームシックにかかりかけた時に、とんかつを食べたことで、アメリカにあるポークテンダーロインサンドイッチという巨大な豚ロースのアメリカ料理を思い出したそうです。ではどのようなものか?それは綱本さんがイラストで描かれています。
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現在のイーサンさんは何をしている?

(画像提供:綱本さん カーメル市立図書館での出版イベントで語るイーサンさん)
こうして河内長野の滞在の目的でもある料理本を出版したイーサンさん。彼は現在、カーメルで何をしているのか伺うと、やはり食に関する仕事をしていました。
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「彼(イーサンさん)は、ご両親が経営しているIndie Coffee Roastersで働いています」と綱本さん。それはコーヒーローストの会社です。画像はイーサンさんが作業をしているシーンを綱本さんがイラストにしました。

(画像提供:綱本さん。Indie Coffee Roastersで焙煎をしているイーサンさん)
綱本さんによればIndie Coffee Roastersは浅煎りが特徴で、フルーティーなフレーバー、ラズベリーのような香りがするそうです。

(画像提供:綱本さん。Indie Coffee Roastersのヘッドクオーターオフィスにて、品質確認を担うコーヒー鑑定士のみなさん)
イーサンさんのご両親が創業した会社ですが、お父さんはコンサルタント業を別にしているため、実質的な経営者はお母さんとのこと。そして業績が好調で、業務を拡大しつつあるそうです。

しかし、いざ綱本さんがお母さんのイラストを描こうとすると、「顔は白でいい」といわれ、画像のような作品になりました。

(画像提供:綱本さん)
イーサンさんは万博開催中にまた来日したいという希望があるそうですが、別のビジネスの話もあってどうなるのか不透明とのこと。とはいえ、イーサンさんは河内長野の滞在ののちに、東大に留学して再来日したという経歴を持っている方です。相当日本が好きなんだなあと感じました。
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綱本さんにカーメルの印象を伺うと、とにかくきれいで蚊が少ない町とのこと。河内長野に似ている点として、都市部(インディアナポリス)から車で3・40分の所にあるベッドタウンだそうです。また犯罪率の低さも河内長野と同じ、大きな特徴です。
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姉妹都市カーメル市の印象は

(画像提供:綱本さん。カーメル市のラブリーホールことパラディウム)
綱本さんによると、20年近くカーメルの市長を担当した前市長、ブレナード氏がカーメルを10万人規模の都市に育てたそうです。さらにブレナード氏は、河内長野のラブリーホールを参考にして音楽ホール「パラディウム」建設しました。今ではカーメル市のシンボルになっています。
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ということで、イーサンさんが執筆し、綱本さんがイラストを描いた料理本を紹介しました。基本は英文ですが、スマホの翻訳アプリを使えば英語がわからなくても内容が理解できます。また、英語の勉強にも使えそうですね。

ということで、綱本さんにお話を伺いました。最後にお話を伺った百年邑さんを軽くご紹介します。百年邑さんは創業25年で6月に周年パーティを開いたそうで、根強い人気のお店です。
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これは綱本さんが描いたものではありませんが、わかりやすいイラストタッチのメニューです。現在ランチは前日までの予約制で、定期的にライブも行っているそうです。
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東高野街道に面した落ち着いた雰囲気の百年邑さんでコーヒーでも味わいながら、姉妹都市同士に住むイーサンさんと綱本さんのコンビで作った料理本を読んでみてもよさそうですね。

百年邑(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市市町379
営業時間:11:00~16:00
定休日:月曜日・火曜日
アクセス:近鉄汐ノ宮駅から徒歩5分
※記事へのご感想等ございましたら、プロフィール欄にSNSへのリンクがありますのでそちらからお願いします。
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この記事を書いた人
奥河内から情報発信
大阪府河内長野市在住の地域ライター・文筆家。2021年に縁もゆかりもない河内長野に移住し「よそ者」の立場で地元の魅力・町が元気になるような唯一無二の文章執筆、情報を発信しています。

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