南河内にあるもうひとつの寺内町といえる大ヶ塚寺内町にあるのは、近松山 顕證寺です。別名「大ヶ塚御坊」と呼ばれる寺内町の中核寺院ですが、ここでは350年の伝統がある八朔の行事が今も続いています。
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司馬遼太郎の紀行文集『街道をゆく』
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作家・司馬遼太郎が日本国内や海外の様々な地域を訪ね歩き、歴史や風土をつづった大作紀行文集「街道をゆく」の河内の道編の一説にも登場しています。その該当ヵ所を引用しましょう。
楠木正成のことなどを思いつつ、観心寺のそばの宿へ<一泊の散歩>をしたあと、大ケ塚に出かけ、八朔の祭りを楽しむ。

「観心寺のそばの宿」とは松中亭のことで、現在は旅館跡を改装したen.undertemple
となっていますが、その後「大ヶ塚に出かけ、八朔の祭りを楽しむ」という記載があります。
八朔の行事は、つい最近までは「祭り」にふさわしく、寺の前に市(八朔市)が出ていたそうですが、今は無くなり寺内の法要(八朔法要)だけとなってしまいました。

私は昨年初めて大ケ塚に行き、八朔のことを知りました。昨年は都合が合わず行けなかったのですが、今年はぜひ伝統の八朔行事をこの目で見たいと思い、9月6日の午後、大ヶ塚寺内町を訪れました。

八朔法要の日ということで臨時駐車場が用意されていました。
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八朔についておさらいすると、みかんが大きくなったような柑橘系の果物「はっさく」とは別に、暦の上で旧暦の8月1日のことです。八月の朔日(さくじつ:月の最初の日、1日)なので略して「はっさく」とよんでいるとのこと。
2026年、今年の旧暦 8月1日は9月11日金曜日なので、本日2026年9月11日が旧暦の八朔で新月です。

寺の入口にある説明板によると、顕証寺は戦国時代の1572(元亀3)年に開基(寺を建てた)とあり、そのころに寺内町が形成されたと考えられます。その後江戸時代、元禄時代に皇室から下賜(かし:位の高い人から与えられる)された人形を本堂に飾って、一般に見せたことが起源となったそうです。
その結果、明治までは八朔の日8月1日(旧暦)から3日間、明治以降(新暦に置き換わって)は9月1日から3日間展示され、多くの人が寺に来ることから、市ができたのが「八朔の市」誕生の経緯というわけです。
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「八朔(はっさく)」の日にちなんで、旬の美味しい柑橘類や八朔の特産品。
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雨がぱらつく中、本降りになる前に顕證寺に到着しました。すでに受付が始まり多くの人が本堂の中に入っていきます。

かつてのような八朔市は無くなりましたが、本堂の手前でパンを販売していました。

さらに中に入ると雑貨、アクセサリー類の販売も。
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これも市(マルシェ)と考えれば、八朔市ではありますね。

かつての大ヶ塚寺内町の中核寺院とあって、本堂がとても立派です。
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大きな吊り燈籠です。
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司馬遼太郎の紀行文集『街道をゆく』
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これは3000円の燈籠供養です。

そしてこちらが、皇室から顕證寺へ「灯籠人形」が下賜されたという歴史につながる人形です。

改めて拝見しました。下賜されたという歴史の人形ではなく、手作りの人形のようです。顕証寺の公式instagram( @kenshoji0721932691 )によると、8月30日に地域の人の手によりつくられたものです。

上の部分が建物と人形で、下の部分が人形への説明になっています。
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「八朔(はっさく)」の日にちなんで、旬の美味しい柑橘類や八朔の特産品。
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テーマは毎年異なるようで、今年は夏の暑さをテーマにしています。そのため人形が団扇を持っているのですね。説明書きによると、子どもも両親も暑さで参っているシーンです。

そこへ商人の八百屋さんがやってきて「暑い夏だからこそ、おいしいものがある」と旬の野菜や果物を紹介しています。
それで「夏が暑い」から悪いと決めつけてはいけない、暑い夏でも涼しさのありがたさに気づくことが仏教の教えにつながるというような説明が書かれていました。

時間になりましたので住職の挨拶がありました。住職は、市がなくなってから3回目ということで、かつてとは状況は変わったものの一年でも長く350年の伝統ある八朔法要を開催し続けたいとの思いを語りました。

まずは法要ということで読経が行われました。途中で焼香を行います。私も参加させていただきました。
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読経が終わると落語が披露されました。この方々はプロではない「落語サークル富福亭(とんぷくてい)」という富田林の落語サークルの皆さんです。「わろたってほしい、元気になって欲しい」ということで3人が交互に出演しました。

最初は富福亭つる坊さんの落語です。

次は天満家は志かさんで、落語ではなく尺八を吹きながら、その歌のタイトルを当てるゲームを行いました。

そして最後は富福亭麻呂さんの落語で締めくくられました。
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ということで、無事に八朔法要が終わりました。1時間半くらいでしたが、途中雨が降っていたらしく、終わるころには雨がやんでいました。
わずかに残った八朔市の売り物ということもあったので、帰り際にパンを買いました。

ということでの帰り道、つい数年前まではこのあたりにもお店が並んでいたと考えると、その時の八朔市も見てみたかったという気持ちがあります。
地域の地蔵盆を巡った時もそうでしたが、どうしても年々規模縮小の流れは仕方がないのかもしれません。

富田林寺内町のような国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されていないものの、高台にあり歴史ある町並みが残る大ヶ塚の中核寺院で続く伝統行事。実際に訪問して記録に残させていただきました。そしてこれからもできるだけ長く続いてほしいと感じました。

大ヶ塚寺内町(近松山顕證寺)
住所:大阪府南河内郡河南町大ヶ塚106
アクセス:喜志駅から阪南一須賀バス停、富田林駅から大ヶ塚バス停下車から徒歩(いずれも近つ飛鳥博物館前行)
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この記事を書いた人
奥河内から情報発信
大阪府河内長野市在住の地域ライター・文筆家。2021年に縁もゆかりもない河内長野に移住し「よそ者」の立場で地元の魅力・町が元気になるような唯一無二の文章執筆、情報を発信しています。
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