河内長野には幼稚園やこども園がいくつかありますが、以前からとても気になっていた幼稚園がありました。それは南花台にあるおしお幼稚園です。
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おしお幼稚園は「幼稚園」という名前になっていますが、幼稚園型認定こども園です。幼児期の教育を行う認可幼稚園が、保育が必要な子どものために保育時間を確保する、保育所的な機能を備えている形式です。

そのおしお幼稚園が、2025年8月に園の建物をリニューアルしました。黒を基調とした引き締まった色合いに、木目調の温かみをアクセントに加えた建物。そこに浮彫の様に貼り付けられた「Oshio Kindergarten」の文字ひとつ見ても、とてもカッコ良いです。手前のスクールバスが無ければとても幼稚園に見えず、大学のキャンパスではと錯覚してしまいます。
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このおしお幼稚園の安本園長は、自分の園のことだけでなく、もっと広い範囲でのこどもの教育方針に強い関心を持っておられ、各方面で活躍しています。一例として4月18日に行われる「これからの学校教育と河内長野市の挑戦」という子どもフォーラム2026も、成功裏に終わるために準備に奔走を続けています。

(カフェテラスのようなルーム)
とても気になった私は、おしお幼稚園の安本園長に取材を申し込みインタビューさせていただくことになりました。

キッチンもついているこのスペースは、イベントなどで保護者だけでなく近隣の人とのつながりに使えたらという思いがあります。カウンター内にしっかりプロ用厨房機器が設置されていて、幼稚園というよりシェアカフェのような雰囲気でした。ここで保護者対象に実際にアクセサリー作りのワークショップをしたり、カフェイベントをしたりしています。
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図書カフェという名前がついたリニューアルした部屋の象徴ともいえる場所です。ここで安本園長にインタビューをさせていただき、その後幼稚園を案内していただきました。
おしお幼稚園の「おしお」とは

おしお幼稚園は1982年にオープンしました。おしお幼稚園の「おしお」とは、南花台の下にある「小塩(おしお)町」から来ているそうです。
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背景にあるのは、南花台は元々「小塩台団地」という名前からスタートしていたからです。やがて小塩台団地が南花台という町名に代わりますが、幼稚園としての認可のタイミングの段階ではまだ「小塩町」だったこともあり、そのまま「おしお」の名前が残りました。

おしお幼稚園は、理事長の父母(安本園長の祖父母)が設立しました。その理由としては、当時の河内長野がニュータウンラッシュだったことが上げられます。開園当初は専門家に指導をしていただこうと、初代園長は芦屋大学の教授にお願いしたそうです。

安本園長のお父様、現在の安本理事長は、会社員として働きながら設立準備を手伝い、開園後は事務方となり後に理事長に。そして創業者の孫(現在の安本園長)がちょうど幼稚園児の年齢(3歳)だったことで、奇しくもおしお幼稚園開園第一号の園児となりました。

当初は現在の半分のスペースでスタート。昭和60年代に子どもの数が急増したことから、園の面積も拡張していきました。
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最も園児が多いときは平成の初めごろで、最大350人の園児がいました。その後少子化の影響で園児の数は減っていき、現在は170人ほどです。
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会社員、小学校の教師を経て家業の幼稚園園長に

安本園長自身は、幼児のころからあった幼稚園という「家業」は意識していました。しかし、若いころは広い社会で自分の価値を試したいという気持ちがあったとのこと。

といいつつ、教育関係の職に就くために教育学科の大学を卒業。卒業後は2年ほど会社員を経験しました。

そのころ河内長野で小学校の先生が不足していたため、教師を募集していたこともあって、安本園長は小学校教師になります。当初は正職員ではない立場だったそうで、高向小学校、千代田小学校に勤務、その後正式に正職員となって富田林小学校に8年勤めました。
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安本園長は小学校教師の仕事は楽しかったのですが、30歳台になって、やはり家業である幼稚園のこともあったことから退職。2015年におしお幼稚園に事務方として入った後、ちょうど平成から令和に代わるタイミングで園長を兼任していた理事長から園長の職を譲られます。
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子どもの主体性を伸ばす教育

安本園長は、北イタリアにあるレッジョ・エミリアという町でスタートした幼児教育「レッジョ・エミリア教育」を採用しています。この教育方法は子どもが主体的に活動し、個性を引き出すことを重視している教育方法です。

レッジョ・エミリア教育理念の象徴として言われていることは「100人子どもがいれば、100通りの考え、表現方法がある」100のことばを掲げている点です。そして子ども自らが展開したい事柄や物事を中心に、アート活動などを取り入れて行うプロジェクト型の教育を行います。
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大人から見ればとても小さな園児たちを、ついつい自分たちの価値観で指導しようとしますが、そうではなく、園児のような子どもたちにも権利があるという前提になって行う幼児教育です。

園児が主体的に感性でやりたいことをやる、これがアートになり、造形活動に繋がっていきます。要するに大人が決めない教育ということです。

「否定ではなく進化という意味で」ということで、安本園長は従来の日本の教育の問題点として個性が出ないことを気にしていました。

安本園長はレッジョ・エミリアでの方針を知り、「日本で同じことをやれないか」と考えていて、2019(平成31)年からおしお幼稚園に導入しようと動き出したそうです。

具体的には次のような取り組みです。まず虫でも花でも子どもが興味を持つものが何かを観察します。それを幼稚園の先生が記録を取っていきます。やがて多くの子どもが何に興味を持つのかがわかってくると、それを子ども発信のテーマとします。
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そしてテーマが決まると子どもが主体としてテーマに関するプロジェクトを行います。大人は基本的に口をはさみません。もちろん園児たちが行う物には不具合が発生することがあります。そうなったら「なぜそうなったのか」その原因についても子ども達に考えさせます。
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「失敗は成功の母」ではありませんが、失敗を繰り返すたびにやり直しを繰り返すことで、自然と失敗の原因が学べるということに持っていきます。

これは映画「こどもかいぎ」の世界そのものです。安本園長も「こどもかいぎ」をおしお幼稚園で再現させようとしたのです。

(おしお幼稚園のこどもかいぎ)
先生は自らは口を出しませんが、ある程度の計画を持っていて、子どもたちが興味を持ちそうなものをあらかじめ準備します。

(園児たちが作った地車「小塩」ではなく「上田」というのが気になります)
「大人が口をはさむことは邪魔なことになる」と安本園長はきっぱりいます。大人が口をはさんでしまうと、親や大人の顔色をうかがう子になってしまう恐れがあるからです。
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とはいえ、おしお幼稚園も元々今とは違うスタイルで保育していたため、新しい教育方針に戸惑う先生もいました。
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安本園長は自分たちの時代と今の若い先生とでは時代のギャップがあるそうで、年齢が若い先生は比較的新しい教育方針に近い時代に子どもだったために、新しい方針への対応力があるそうです。

ただどうしてもある程度年齢が高い世代が慣れるまで大変だったといいます。「もっと教え込まないといけないのでは」と、年齢の高い先生は不安に陥りやすいとのこと。安本園長自身も小学校教師の最後のほうでは似た経験を味わったそうです。

こうして基本的に子ども達にゆだねて子どもたちに任せる幼児教育を行っていますが、暴力といじめだけは例外的に阻止するそうです。
食も重視していく

安本園長は今後の方針としてまだ構想段階と言いつつ、給食についても新しい取り組みを行うことを検討中。オーガニック給食にできないかと考えているそうです。

とはいえ現時点でも、先端的な給食のスタイルを実践しています。それは「自分のペースで食べる」ということです。

給食を食べる時間について、「先に食べるチーム」「後のチーム」を園児たちに決めさせて実行させています。
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そして園内にあるホールで食べます。それは楽しく一緒に食べる喜びを味わってほしいとの思いがあるからです。

おしお幼稚園には弁当の日も年数回設けています。これはホールではなく外で食べる特別な日ということで、子どもたちはお弁当の日は特にうれしそうとのこと。
構想から3年で改装が終わった

今回の幼稚園改装の理由は、建物の老朽化が原因です。思い切って改装したのはちょうど利用できる国の補助金があったからで、建物の機能性を上げようと2022年から構想を練りました。
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例えば壁に断熱材を入れ、ぬくもりの木をふんだんに使いました。蛍光灯についても暖色の物に変更することで子どもたちが快適にすごせる環境作りにこだわりました。
安本園長は「音響だけはあまり影響がないので特に変えていない」とのこと。

こうして構想から実際の工事を経て新しくなったのが昨年の8月でした。部分部分、段階的に工事をしていったそうです。

ということでおしお幼稚園を取材しました。インタビューと園内をまわりましたが、印象的だったのは年長組と呼ばれる園児たちです。しっかりとお話ができ、とても大人びているような気がしました。園児の中では最も年上ということもあるのですが、実際にはまだ幼稚園児で、その上が小学一年生です。
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なのに、年長の園児たちが安本園長にあれこれ話しかけている様子は、自治体の首長や議員さんが地域のお祭りやイベントに参加した時に、交流をしながら困りごとを相談している地域の人を思い出してしまいました。

また、改装したこともあるからでしょうか?給食で並んで食事をもらってそれぞれのペースで食べる園児たちを見ると、大学の学食の場と錯覚しました。園児たちの自主性にゆだねる点も含めて幼児の大学と言いたくなるようなおしお幼稚園。小学校に入学する前からすでに社会そのものを学べる環境にあるんだなと感じつつ、園児たちが将来大人になった時に、どんな活躍をするのか今から楽しみな気がしました。
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幼稚園型認定こども園 おしお幼稚園(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市南花台1丁目27-1
TEL:0721-64-1122
アクセス:南花台1丁目北バス停下車
instagram
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この記事を書いた人
奥河内から情報発信
大阪府河内長野市在住の地域ライター・文筆家。2021年に縁もゆかりもない河内長野に移住し「よそ者」の立場で地元の魅力・町が元気になるような唯一無二の文章執筆、情報を発信しています。



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