【河内長野市】動けない人も移動機会を!PASは元消防長3人らが民間救急車を利用した移動支援を実施

インタビュー記事

一般的に民間の法人の中に特定非営利活動法人(NPO)があります。NPO法人にも種類があり、一般NPO法人、認定NPO法人、特例認定NPO法人(設立から5年以内の法人を対象に、認定NPO法人になるためにクリアすべき要件を緩和したもの)があります。

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このなかで認定NPO法人というのは、認定されるためには一定の要件を満たしている必要があり、簡単には取れません。2005年8月末の時点でNPO法人は全国に約49,000団体あるのに対して、認定NPO法人数は約1,300団体しかなく、全体の2.65%程度です。つまり認定されるのがとても難しいというわけです。

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河内長野にはこの認定NPO法人が存在しています。それは民間救急のPAS。実は過去に一度だけ簡単にPASさんのことに触れました。それは万博のウォーターパビリオンを作ったというIKKENさんを取り上げた時でした。

あの時はどうしても万博パビリオンがメインということもあり、PASさんのことを詳しく紹介できませんでした。そこで改めてPASさんを取り上げることになり、IKKENさんの中にある事務所を再訪し、取材させていただきました。

定年後に考えた「高齢者のために」

理事長で代表者の角俊孝さんは、1975(昭和50)年4月に河内長野市消防本部に採用されてから定年まで消防畑を歩みました。その間、阪神淡路大震災救助応援隊や大阪府立消防学校教官を歴任しています。そして河内長野市消防本部(現:大阪南消防組合河内長野消防署)の消防長に赴任したのち60歳で定年となりました。

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その後福祉施設で働いたのですが、その時に移動困難になって苦しんでいる高齢者を数多く接したといいます。そんな最中、角さんの奥様が他界。その当時64歳だった角さんは突然ひとりになり、孤独感に襲われます。


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その様子を見て心配した人がIKKENの社長でした。「なんかした方がええのと違うか?」。元消防士だった社長は、消防のOB仲間として孤立している角さんをとても気にして何かできないかと考えます。

(画像提供:PASさん)

社長が心配する中、角さんは「これから何をしたらいいのだろう」と考えます。そんなとき、福祉施設での経験から「高齢者のためになることをすれば良い」と思い付きます。ちょうどコロナ禍となり、多くの高齢者の命が奪われたタイミングとも重なりました。

こうして、自然に志を同じくするメンバーや支援者が集まります。事業として行うために法人を取ることになったのですが、行おうとしている内容から営利目的の会社ではなく、非営利のNPOが向いているということで、NPOの申請をしました。

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2021(令和3)年9月21日にNPOの認証が降りたので、10月1日に認定NPO法人「PAS」を設立しました。同じ月に民間救急車が手に入り、翌2022(令和4)年から事業をスタート。IKKENの社長さんは、PASさんの事務所の場所を提供するなど、角さんを後方からサポートします。

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ここで民間救急についておさらいすると、緊急性が低い傷病者を搬送する民間の事業者のことです。入退院・転院・通院はもちろん、旅行や冠婚葬祭、引越しなどにも対応します。そしてもうひとつの重要な役目として、消防救急の負担を減らすことです。緊急性の低い案件を民間救急に任せることで、緊急性の高い疾病者の搬送を救急車が優先できるというわけです。

PASの活動は、千代田台町にある水野クリニックの水野院長も支援メンバーのひとりです。事業がスタートしたのはコロナ禍の真っ最中ということもあり、水野クリニックとタッグを組んだといいます。当時はコロナ患者であふれ、通常の患者と分けていた水野クリニックへの移送に民間救急車を使いました。完全防護で2年ほど続いたそうです。

また2024年1月1日に起こった能登半島地震でも、PASの民間救急車が現地に向かって活動を行いました。1度目はとりあえず水を運び、2度目は看護師を派遣しました。いずれも日帰りで往復したそうです。

「看護師派遣の時は朝の3時に出発して、お昼に現地に到着した後、看護師を現場で下ろし、対応が終わって戻ってくる夕方まで仮眠をとっていました」と、角さんは当時を懐かしんでいました。

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元消防長3人が理事

PASさんは取得が難しい認定NPO法人というだけではありません。構成メンバーの経歴がすごいのです。


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  • 理事長の角俊孝さん、元河内長野市消防長
  • 理事の北岸忠志さん、元大阪狭山市消防長
  • 理事の角井洋一さん、元柏原羽曳野藤井寺消防組合消防長

なんと、元消防長3人が主要メンバーなのです。ちなみに現在20名のメンバーがいて、うち4人が消防OBです。但し純粋にNPOの専任は代表の角さんだけで、あとはほぼボランティアとしての活動です。

(画像提供:PASさん)

そして角井さんと北岸さんのふたりは、救命救急士の資格を持っています。ここで救命救急士をおさらいすると、現場から病院へ搬送されるけが人や急病者に対して命を救うため救急救命処置(薬剤投与、気管挿管、点滴など)を行う仕事で、厚生労働大臣認定の国家資格が必要な専門職です。救命救急士には消防士が多いものの、病院や民間でも活躍しています。

PAS設立の背景には、この救命救急士を活かすという狙いがあります。「人命を左右するほど大事な資格を持っているのに、これを活かさないといけない」ということで、おふたりともPASの理事として活動に参加しました。

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「救命士しかできない業務が多くあるから、使わないともったいない」角さんは今後同様に、現役を引退してもまだまだ働ける人たちが救命士の資格が活用できる場所として、PASが受け皿になったらといいます。


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介護タクシーではないが、それに近いことも行う

民間救急車ということで、通常の救急車では行わないことも行います。それは車いすの利用者さんの日帰りツアーのようなものです。過去に太子町の地元のガイドと協力して聖徳太子廟のある叡福寺や竹ノ内峠の近くにある道の駅に何度も案内したことがあるそうです。

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(叡福寺)

「その時の利用者の表情が朝と帰りとであまりにも違いました」と角さんはいいます。「最初は『どこへ連れていかれるのか?』と、心配な感じで非常に不安そうな表情をするのです。ところが帰りは全く表情が異なり、みんな満足して帰ります」とのこと。十分楽しかったことで安心して眠っている人も多いといいます。

このほか旅行やショッピングなどにも対応しています。他の事例では盆踊り会場まで案内したこともありますし、どうしても孫の結婚式に出席したいということで、大阪市内の式場まで案内したこともあります。要請があれば遠方の旅行にも対応しているそうです。


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「介護タクシーに近いものかもしれないが、介護タクシー業界の仕事を奪うことはない」といいます。NPO団体にしたのもそういう制限をかける狙いもあります。また救命救急士がふたりいるので、緊急時の対応もできるため不測の事態も安心とのこと。

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また2024年から小山田にある老寿やすらぎ病院とも提携し、利用者さんの移送でPASを活用しています。年間で150人くらい運ぶとのこと。

無償で行うAEDなどの講習会

(画像提供:PASさん)

PASさんは民間救急車の運用に加え、AEDの使い方や心臓マッサージの講習会を高齢者施設などで行っています。講習は無償で行っているとのこと。「NPO法人として、利益よりもAEDなどの普及を重視します」ということで、寄付を受けるのにとどめているそうです。

(画像提供:PASさん)

PAS設立後から講習会を行っていますが、過去に講習会を行ったときに役立った事例があるといいます。ある高齢者施設で一昨年の講習会の数カ月後に倒れた人がいたのです。しかし、講習の指導のおかげでAEDや心臓マッサージを適切に行えたので、慌てず対応でき、ひとりの命が助かったのです。

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(画像提供:PASさん)


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「この話を聞いた時は本当にPASの事業をやって嬉しかった」と、思わず角さんの表情が緩みました。

今後について

(画像提供:PASさん)

最後にPASさんの今後について、角さんにお話を伺いました。「老寿やすらぎ病院さんをメインに据えながら、まずはPASの活動の認知度を上げていきたい」といいます。

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(画像提供:PASさん)

「これから団塊世代が後期高齢者となり、ひとり暮らしが増え、外に出たくても出られない人が増えていくと考えられます。だから市民の皆さんに、よりPASの活動のことを知ってもらい、どんなことでもいいから、困っている人たちのお役にたてて行けたらと考えています」とのこと。

(画像提供:PASさん)


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そして来年の課題としては河内長野市との連携だといいます。「今年10月の南海バスの再編によって影響が出ている人がいるのは事実」と前置きし、PASの民間救急車もそんな移動のための手段のひとつつとして利用していただければと考えているそうです。

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(画像提供:PASさん)

「だから市の担当の方の意見を聞きながら、どういう形かはわからないけど、市との連携を模索できればと思います。そうすればひとりでも多くの『動けない人』に、『移動の機会を与えて』元気を取り戻してほしい」と、角さんは2026年以降の活動について熱く語りました。

(画像提供:PASさん)

大阪でも非常に珍しいという認証NPO法人PASさん。消防長を務めた3人の方が、第二の働きの場というべきPASさんでいきいきと働き、高齢者のお役に立てたい、もっと多くの人に知って欲しいという思いが伝わる取材でした。私も微力ながら今回の記事を書くことで、この活動をもっと多くの人に知ってもらえたらと感じました。

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認定 特定非営利活動法人PAS(外部リンク)

住所:大阪府河内長野市原町4丁目1-30
TEL:090-3279-8383

受付時間:平日9:00~17:00

アクセス:河内長野市役所前バス停下車徒歩8分

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この記事を書いた人

奥河内から情報発信
大阪府河内長野市在住の地域ライター・文筆家。2021年に縁もゆかりもない河内長野に移住し「よそ者」の立場で地元の魅力・町が元気になるような唯一無二の文章執筆、情報を発信しています。

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