河南町中という地域は、かつて中村と呼ばれたところで、明治時代までは中村神社が村の中心にありました。その中村神社が建水分神社に合祀された後も、村の中心部として、近隣に生活に必要な店舗が集まっていたそうです。
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しかし車社会となった今では、ほとんどのお店が廃業となりました。そんな中、唯一、今も店舗を構えているのが「カットショップ・ナカ」さんです。
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ご縁があり私はナカさんとつながりを持ったのですが、ナカさんは「これから需要が高まることは間違いないであろう」という訪問理容を、もっと多くの人に知って欲しいと考えていることを知りました。また、理容関係者の方と一緒に訪問理容をできたらという強い思いも持っています。とても気になった私は、ナカさんにそれはどういうことなのか、取材をさせていただくことになりました。

「村床」を守るために中(旧中村)に来た

訪問理美容カットショップナカの喜圭一朗さんのご先祖は奄美大島の人で、先々代の頃に大阪に移住して来たそうです。その先々代は富田林である職人だったそうですが、戦後に南河内郡中村(現、河南町中)に来ることになったのには訳がありました。
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当時はまだ移動手段が限られていたため、地区ごとに必ずなくてはならない業種があったそうで、理容店もそのひとつ。当時は「村床」と呼ばれていました。今はカットショップ・ナカですが、その場所の理容店そのものはなんと100年ほど前から存在し、別の方が営業をしていました。ところがその人が辞めることになったため、困った地区の区長が代わりの人を探したところ、店を引き継ぐことになったとのこと。

カットショップ・ナカさんの公式ページによると、先代(喜さんのお父さん)が1977(昭和52)年(1977)に店舗を新築。さらに喜さんの代になって2017(平成29)年5月に改装し、店名も現在の「カットショップ・ナカ」に変えたそうです。「かつてはこのあたりは村の中心部でお店も多かった」と、喜さんは子どものころを懐かしみます。
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喜さんは一時期別の場所で働いていましたが、先代が倒れたことでこの地に戻ってきました。先代の死後は喜さんが店の跡を継ぎ、3代目として現在に至ります。
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「行きたくても動けない」訪問理容は高齢化などの影響で必要になっている

お客さんにゆっくりしてほしいとの思いから、改装時に1台限定としました。この理容用の椅子は歯の治療で使用する椅子も作っているタカラベルモント社で作られた高級椅子です。
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具体的にはトランスフォーメーション(変形)ということで、肘置きが下に下がるようになっているのですが、それが左右を同時にできるようになっています。これは体の不自由な方が座る場合に転がるように左右どちらからでも座れるようにしているからです。
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またある程度動ける方なら車椅子からの移動できるようになっていて、足が上がらない高齢者の方でも利用できるように、ステップの取り外しもできます。

また改装時に同時にバリアフリー工事を行い、車いすの状態のままでもカットできるようなスペースを設けました。男性だけでなく女性のお客さんの利用も受け付けており、それも嬉しい配慮のひとつです。
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3代目となった喜さんが、実店舗でのバリアフリーに留まらず訪問理容をする理由として、もちろん過疎の問題もあるのですが、それ以上に高齢化が進み、お店に来れなくなった人が増えたことが挙げられます。「家に来てカットしてもらえないでしょうか」と高齢の常連さんから言われたことがきっかけとなり、訪問理容を始めたそうです。
店はひとりでできる。訪問理容はスポットでしてくれる人がいれば

(画像提供:カットショップナカさん)
ということで、訪問理容をはじめた喜さん。今は南河内一帯で求めている方のために現地に行きカットを行っています。「介護施設や高齢者施設に行きカットをさせていただいていますが、希望者の方には髭剃りも。カットの料金とは別に出張料をいただいています」。伸ばしっぱなしだった髪の毛を切ってもらえてすっきりしたと、とても喜んでもらえているとのこと。
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(画像提供:カットショップナカ)
「シャンプーは道具があるのでできますが、実際の依頼は少ないです。シャンプー一式を持っていくと別途コストがかかるので、訪問入浴の前に依頼を受けることが多いですね」と喜さん。現在は喜さんが個人的に受託している仕事のほか、業界店舗数が最大の「髪人(かみびと)」(外部リンク)南河内店の訪問福祉理美容師としても仕事も受けています。
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(画像提供:カットショップナカ)
これまでの訪問介護では、南河内の他、堺の泉ヶ丘、中環沿い大泉緑地近くまで出向いたことがあるそうです。「お店を辞めて訪問理容一本にした同業者も知っていますが、そうなるとさらに遠方にまで出張しないといけなくなりますし、何より地元のお客様が困ってしまいます。だからこれからも店は維持したいです」。

(画像提供:カットショップナカ)
ここで喜さんは、「金儲けは難しいけれど」と前置きしたうえで、訪問理容を一緒にやってくれる人が増えればといいます。私は不思議に思いました。その前に訪問理容だけだと仕事が大変といいながら、一緒にやってほしい人が増えればといいます。相矛盾する発言に疑問をもったところ、喜さんは意外なことを言いました。
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(画像提供:カットショップナカ)
続けて「実は難病を患っていたんです」と衝撃的な話を始めました。喜さんは、10年ほど前、ある日突然倒れてしまい気が付いたら病床にいたとのこと。神経系の病気とのことで一時は体が動かない寝たきりの状況でした。しかし持ち前の頑張り精神で懸命にリハビリを行い、どうにか社会復帰ができたといいます。
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「今では車の運転もできるようになりましたが、少し後遺症もあります」という喜さん。そのためもあって、店では自分のペースで仕事を続けることとなり、お店での営業は完全予約制で理解のあるお客様に絞っているそうです。

自らも寝たきりを経験したことで、体の不自由なお客様のことを自分ごととして考えることができる。だからこそよけい自店をバリアフリーとし、訪問介護に力を入れる結果となっているのでしょう。それは対象者にとってもとても力強い味方となっていることにつながっています。
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いっしょに訪問介護をしていただける人に望むことは、「どちらかといえば、ボランティア精神、自己肯定感が上がる意識、気持ちを重視している人」といいます。背景には依頼あっての仕事なので、確実にたくさん仕事があるとは言えないからです。

喜さんによると「かつての理容業界は、完全ボランティアで介護施設などに行ったものです。理容店の新人にとっては、それが生身の人の髪の毛を切る経験を積む場所でもあったからです」しかし今はビジネスチャンスとばかりに、いろんな企業が参入する現状となっています。
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今後のことを考えても需要は高いといいながらも「いつ仕事が入ってくるかわからないので、この仕事でお金儲けはまだ厳しいだろう」とのこと。「若いころに理容師や美容師をしていたけれど、子育てなどでしばらく休んでいた人が、パートのような感じ、あるいはベースの仕事がある人が隙間時間に来てくれたら」と喜さん。実際のノウハウを伝授してくれるそうなので、今まで訪問理容の経験のない理容師さんでも可能です。

確かに理容師の資格を持っていながら辞めざるを得なくなり、子育てが落ち着いて手が空いた方などが最適かもしれませんね。

「訪問先に行くために必要な車を持っていること」「固定給ではなく出来高払い」という条件で問題ないという理容師さんであれば、午前中だけ、午後だけ、週に1回など、ご自身の都合に合わせて合間時間を活用して手伝ってくれたら嬉しいそうです。
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(カットショップナカさんでは、カナちゃんコインをはじめ各種支払に対応しています)
最後に、訪問理容をやっているときに最も印象に残ったことをお伺いしたところ、「認知症の人に追い返されたことがあります」と喜さん。家族が理容師さんだと説明するも理解できなかったようで、どうやら怪しい人と思われたからでしょう。訪問理容はそれほど大変な仕事でもあるわけですね。
さて、そんな訪問理容をこれから始める場合に重宝するとても収納力の高いボックスもあるようです。
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それでも喜さんは、「先ほどの例はめったにないことで、多くの利用者さんは訪問理容で喜んでいただけています。衛生面の観点もあるので、動ける人はお店でカットしてもらうのが原則。訪問理容を利用する方は寝たきりとか施設にいる人に限られるので、行くと本当に喜ばれます」と語ります。

(広報かなん8月号でも紹介されました)
ということで、喜さんのお話を伺いながら、「元気な時には当たり前に理容店に行って髪を切ることができるが、それができなくなったら訪問理容のような人がいないと、自分の髪を整えることもできない」と思いました。直接は聞いていませんが、喜さんも病気で動けなかった時には、同様の経験をされたのかもしれません。

(近くに駐車場があります)
なおカットショップナカさんによると、新年は1月6日から営業するそうです。
またネット上には折り畳みシャンプー台の販売もあるようなので、喜さんの指導でこれから訪問理容を始めようという人の敷居がより低くなっている気ががしました。
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近くの中村バス停はバスの便が少ないので、さくら坂方面からのバスが来る白木バス停まで歩きましたが、歩きながら「当たり前のように歩けること」に改めて感謝しました。

カットショップ・ナカ(髪人・南河内店)
住所:大阪府南河内郡河南町中548-3
TEL:0721-21-9019
営業時間:9:00 ~ 19:00 (時間外予約、応相談)
訪問理容専用電話:0721-21-6359
休業日 毎週月曜日、第2・3火曜日
アクセス:中村バス停下車徒歩1分、白木バス停下車徒歩13分
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この記事を書いた人
奥河内から情報発信
大阪府河内長野市在住の地域ライター・文筆家。2021年に縁もゆかりもない河内長野に移住し「よそ者」の立場で地元の魅力・町が元気になるような唯一無二の文章執筆、情報を発信しています。



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