【南河内郡】スーパーフードのマコモを知ってますか?太子町の方が河南町と千早赤阪村境界線近くで栽培中
南河内郡は太子町、河南町、千早赤阪村で構成されていますが、今回はこの3つにかかわりのある農家(野間)さんのエピソードです。太子町在住で太子町でぶどう栽培を行い、そこからワインの醸造・販売まで行っていた野間さんだったのですが、いろいろな事情があって今度は河南町との境界線にある千早赤阪村の畑でスーパーフードとも呼ばれている「マコモ(真菰)」の栽培をしています。

私が初めて野間さんを知ったのは、富田林寺内町で行われていたイベントでした。ぶどう農園を営みながら無添加のぶどうを醸造してワインを作り販売されていました。それからいろんなイベントでお会いしたものです。
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ところがある時を境に野間さんの姿を見かけなくなったのです。「いったいどうされたのだろう」と気になっていた矢先のこと、今は千早赤阪村で畑を借りてマコモの栽培をしているという情報を得ました。

とても気になった私は、野間さんにお話を伺うことにするため、畑に向かいました。マコモのこともですが、ぶどう農園やワインの醸造がどうなっていることも含めてお話を伺いたかったからです。バスで降りたのは河南町の神山バス停ですが、冒頭にも述べたように、野間さんのマコモ畑が河南町の境界線付近にあるからです。
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野間さんの畑は森屋大宮の交差点の近くにあり、農道を入った奥のほうにありました。手前に葉が並んでいる畑がありますが、これは蓮の葉で、レンコンを栽培しています。

野間さんによれば、今の畑は手前でその蓮根畑をしていたイズミさんという方の田んぼだったそうです。田んぼは刈り入れ時になると水を抜きますが、それは常時水が必要なレンコンに影響がでるということで、イズミさんは蓮根に影響のない別のものを植えることになったのです。
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ただできれば誰かほかの人に栽培してほしいと思っていた矢先、ちょうど野間さんがマコモを栽培したいと畑を探していたタイミングと一致しました。マコモの栽培もレンコン同様に常に水が必要なことから、野間さんがマコモ栽培を始めることになりました。
なぜマコモを始めたのか?

野間さんは、ぶどう栽培はなかなか収穫が難しいと言います。野間さんは農薬、除草剤、化学肥料を使わわない方法で栽培しているため、虫がつきやすいのが大きな理由でした。悩んでいたところ、同様に農薬を使用せずに果樹園を栽培している人の話によると、安定するのに10年近くかかるという事がわかります。そこでしばらくは、ぶどう畑に変わって別のものを栽培しようと考えた矢先にマコモと出会ったと言います。

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マコモに出会ったきっかけは、富田林寺内町で半田そうめんをだしているあやなみさんでした。野間さんはあやなみさんで津軽三味線を習っていたことがあったそうですが、その際、あやなみさんがマコモが好きだったので気になったからとのこと。
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野間さんは、まずバケツ栽培から始めました。そして本格的にマコモ栽培を行おうと、富田林龍泉にあるさとやまブランドさん(外部リンク)で指導を受けたのち、本格的なマコモ栽培を行うこととなりました。

(マコモ畑の先は河南町)
太子町のぶどう畑を諦める気はないので、別の場所でマコモを育てることになったのですが、イズミさんの蓮根同様に田んぼの隣だと水がなくなってしまいます。そういったことで、千早赤阪村と河南町の境界線にあったレンコン畑の隣にある畑と出会ったのです。
スーパーフード「マコモ」を多くの人に知ってほしい

マコモはイネ科マコモ属の多年草で、稲に近いそうです。アメリカでは北アメリカ北東部の湿地に自生していることから、アメリカの先住民が「ワイルドライス」として種子を食べていたそうで、その色、形は黒褐色でバスマティライスのような長細い形をしています。
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(茅の輪の材料もマコモ)
マコモ日本でも古くから利用されていましたが、食用というよりも、しめ縄や茅の輪の材料として重宝されたことから万葉集や古事記にも登場します。
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特に古事記では最初の造化3神出現のあと、4番目に誕生した宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコジノカミ)が泥の中から葦が芽を出すような勢いで出現したとされることから、この神がマコモであるとされる説があるほどです。

そんなマコモは黒穂菌(クロボキン)に寄生されると新芽が肥大化し、マコモダケと呼ばれ食用になります。野間さんはこのマコモダケを栽培し販売しています。
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(黒穂菌が目立ち始めたマコモ)
そして収穫期は10月末ごろまでで11月過ぎてくると黒穂菌の繁殖が増えすぎて、見た目が黒くなってしまうとのこと。食べるのには問題はないものの、見た目が悪くかつ食感も悪くなるので、綺麗なうちに採りたいといいます。

ぶどうと比べるとマコモは非常に栽培しやすいそうで、田植えの頃に植えると放置しても育つそうです。唯一気にすべきことは水の量で、畑に水がなくなるとマコモがダメになります。だから野間さんは定期的に水の量をチェックし、収穫を待つだけだと言います。
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そんなマコモは天然のスーパーフードとも呼ばれており、あらゆる料理に適応しています。揚げる、煮るどちらも対応できるので、天ぷらにしてもおでん種にもなるとのこと。

(画像提供:野間さん)
触感に甘みがあるので生で食べても行けますし、糠漬けにしても美味いそうで、未確認ながらもマコモの甘みを利用すればケーキにも利用できるかもとのこと。さらに葉酸、食物繊維、β-カロテン、ビタミンA、クロロフィルと言った栄養成分が多く含まれていることから、スーパーフードとも呼ばれているそうです。
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(画像提供:野間さん)
「お茶にマコモも良いですよ」と野間さん。お茶は皮を乾燥させて利用できるとのことですが、野間さんの話では皮を剥くときに実が少しつくので、それを切って乾燥すると実が持つ甘さとコクのあるお茶になるそうです。
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(道の駅太子)
現在農薬を使わないマコモとして、一反も満たない面積で栽培しているという野間さん。現在は道の駅太子で販売し、通販でも販売しているそうです。またいろんな人が応援してくれているということで、富田林のある名レストランにも卸せているのが誇りとのこと。ただ認知度が低いので、もう少しマコモのことを多くの人に知ってもらえたらとのことでした。
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ぶどうは諦めない!だって吞みたいから

太子町に住んでいて太子町にあるぶどう畑は不安定でワインづくりにも影響が出ているのに、それを辞めずにわざわざ別の場所でマコモ畑を育てている野間さん。その理由を疑うと意外な一言が返ってきました。「だって呑みたいから」です。

呑みたいというのは野間さんではなく、野間さんのご主人です。試行錯誤を繰り返しているぶどう畑を続けているのも「吞みたい」という執念で続けているところがあるそうです。

(画像提供:野間さん)
そんな野間さんご夫妻は、京田辺で知り合いました。鍼灸師の国家資格を持ちながらさまざまな職を経験していたご主人さんは、当時鉄筋工の会社員で京田辺に住んでいたそうです。野間さんも、いろんな職を経験していたのですが、縁があって京田辺にいたため出会いがあり、結婚に至ったそうです。その後、転勤で摂津、さらに堺市美原区に仕事が移ります。
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京田辺から摂津までは通えても美原は遠いとなり、引っ越しした先が太子町でした。前からヤギを飼いたいと思っていたので、飼えるスペースのある物件を探していたところ、イメージ通りのものが太子町にありました。その物件を取得し太子町に定住します。
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ぶどうの前はジビエに挑戦していたという野間さんご夫妻、太子町はぶどう畑も多いことからやがてぶどうと知り合います。まだご主人さんは会社員だったころから野間さんはぶどう畑を手伝うようになり、ぶどうへの思いが強くなっていきます。

そして野間さんはついにぶどう農家を志し、NPO法人太子町ぶどう塾(外部リンク)に入塾したのです。こうしてぶどう畑を手に入れ、最初は野間さんだけ、やがてご主人も会社を辞めて夫婦でぶどう畑を始めることになっていきます。

(画像はイメージです)
ぶどうで生計を立てようとしますが、そんなに甘いものではなく食用のぶどうだけでは食べていくのは厳しいと考えていたころ、ワイン醸造の話につながります。きっかけは奈良のワイナリーの知り合いでした。
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(2021年のチラシより)
「美味しく吞みたいから、採れたぶどうからワインを醸造しよう!」呑むのが好きだったご主人も乗り気となり、2020年から柏原市のワイナリーを借りてワインを醸造し始めました。
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(2021年のチラシより)
農薬、除草剤、化学肥料を使わわないぶどうで造るワインは、酸化防止剤も使わないデリケートなものです。だからでしょうか?「ワインは生きている」と実感できたとのこと。そのため冷蔵庫などの冷暗所での保管が必須なこと、中身にオリが入っているのが特徴です。ワインの名前は、夫妻の苗字「野間」から「nomAmon wine」というブランドとしました。

(画像提供:野間さん)
しかしながら2022年までは製造出来たのですが、それからぶどう栽培を苦戦をしているのが現状です。冒頭にも書きましたが農薬を使わないためすぐに大量の虫がついてしまうそうです。それでも野間さんは決してぶどうは諦めていません。様々な情報を駆使し試行錯誤中で、共生栽培なども検討中とのこと。「ぶどうはもう少し先だけど必ずやり遂げたい」野間さんはそう意気込んでいました。
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ということで、ぶどう農家を試行錯誤しながらマコモの栽培を始めた野間さん、まだまだ不安定ながらも長い目で見てほしいと言います。「いつか太子町の自宅ででもイベントができたら」と、苦戦しながらも常に前を向いている野間さんの姿が印象的でした。
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野間さんのマコモ畑
住所:大阪府南河内郡千早赤阪村森屋
アクセス:神山バス停から徒歩15分程度
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この記事を書いた人
奥河内から情報発信
大阪府河内長野市在住の地域ライター・文筆家。2021年に縁もゆかりもない河内長野に移住し「よそ者」の立場で地元の魅力・町が元気になるような情報を発信しています。
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